三年前

山谷感人

エセー

940文字

如実な追憶である。

三年前。
公園に捨てられていた猫を拾って来たのは、僕ではないが育てた、と云う自負が有る。
連れて帰って善意とした文言の遣り取りを経て、商売があるし……、どうしよう? の中、時間がまだしも有る僕に任せろ! と啖呵を吐いた。
最初、公園に駄目な人間から捨てられた猫であったので非常に警戒をしていた。また、下手な事をしたら、公園送りなのではないか? と、びくびく、おどおどしていた。そこで僕は「にらめっこ、をしようぜ?」なるフレーズを伝えて猫の顔をまじまじと見詰めた。
「怖がれ。逆に。逃げようと、するな。僕の顔をじっくり見ろ。但しハンサムだなぁと認識しろよ」と一対一で二時間、眼と眼を合わしていたら「もう信用した。君を。二度と公園には行く事はないね」「そうだよ」 「但し、髭がちょっと怖いから、剃って呉れる?」 「狂気っつうのはさ、才能なんだよ……。でも確かに、君を迎え入れたから風呂に入って来るぜ」
そう伝えて浴槽に行った。
シャワーを仕方なく浴びる、良い匂いをさせてリビングに戻った時、あんなに、びくびく、おどおどしていた猫が「お帰り~」として頭突きをし、ゴロゴロとした初めて行ったの合図を送って呉れ、僕の背中から離れようと、しなかった。その瞬間、僕は約束したんだ。「サンクス。ひとつ、強くなれたね? 此れからどんなに困難の事案が有ったとしても俺は君を守るから」
僕の背中は、猫の唾液まみれになり、その匂いが付いたティーシャツは僕は洗濯する事はなく、この先、どう云う事になろうが生涯、そのティーシャツは大切に保管する心算で、有る。
猫よ、君が臆病さを克服して、素敵な笑顔をし僕に猛ダッシュして呉れた我々の生業は、お互いに決して忘れないように、しよう。
後、二十年は生きて欲しい。僕じゃなくても君を、もう一度、公園のベンチに送る不遜な人間は居ない、だろう。
僕に魅せなくとも、常に、あの往時、憶えた笑顔は失わないように、して呉れ。
ニャン、ニャンとした声が脳裏に浮かぶが、それは突き詰めれば、畜生と、どう共存して世間に言い訳するか? なる延々としたテーマなのだろう。
猫よ、笑顔を素敵になった君よ。遠くない世界、また喜美と逢えると信じているし、君が僕を忘れる事はないと、永遠の事実として僕は理解しているから。
愛している。

2021年6月1日公開

© 2021 山谷感人

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