目覚めよ!私のなかに眠りしコナン君!

応募作品

松下能太郎

エセー

2,436文字

名探偵破滅派「神様ゲーム」の犯人の推理です。モロネタバレからスタートしているのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

英樹を殺したミチル。天誅が下ってミチルは死ぬ。

芳雄はその共犯者にも天誅を下すようにと「神様」を名乗る鈴木君にお願いする。鈴木君は芳雄の願いを叶えて天誅を下す。その対象となった人物が、あろうことか芳雄の母だった。

 

衝撃的な結末に口があんぐり……物語はそのまま幕を閉じた。

えっ。

ここから犯人を推理しなければならないのか?

 

ミチルが英樹殺害の実行犯で、芳雄の母がその共犯者。

ずばり、この二人が犯人。なぜなら天誅が下ったから。

 

うーん、しかしこれだけではひねりがなさすぎるのか。

煮詰まった脳みそで考えるうちに、共犯者は果たして芳雄の母ひとりだけなのだろうかと思った。

鈴木君は決して嘘は吐かないということを100%信用して推理すると、芳雄が言った「共犯者がもうひとりいるんだろ」という問いかけに対して、鈴木君は「そうだよ」としか答えていない。

このことから、共犯者がひとりいることは確定されたが、ひとりだけしかいないとは断言されていない。

なので芳雄の母以外にも共犯者がいる可能性はあるなと思った。

 

そこで誰が一番共犯者として怪しいのかと考えると、私はどうも光一が怪しそうだなと睨んだ。

 

ミチルと共犯者は、日頃から鬼婆屋敷でエッチなことをしていた。

人目を盗んで逢引するためには、誰にも気づかれない時間を選ぶことがもっとも重要だ。

 

ミチルは母と二人暮らしで、週に一度か二度、学校をズル休みする。ミチルの母は働きに出ていて家にいないことから、ミチルには昼間ひとりになれる時間がある。

一方、共犯者の芳雄の母は、日中パートか何かで働いているかは不明だが、もし働いていないとすると、芳雄の父は家にいないことが多いことから、ミチル同様、芳雄の母には昼間ひとりになれる時間があると考えられる。

 

このように共犯者である条件として、昼間ひとりになれる時間がある人物だと仮定すると、光一はこれに当てはまるだろうか。

光一は中学二年とあるが、現在学校に通っているのかは書かれていない。また、「あいつはたいてい夕方には戻ってきてるよ」と秋屋甲斐の動向に詳しいことや、肌が色白であることから、光一は学校には行っておらず、一日中部屋にいるのではないか。そうなると、昼間ひとりになれる時間がある人物、という可能性が出てくる。

また、芳雄が光一のことを「なんだか聡美の従兄というより、むしろミチルちゃんの従兄っぽい」と感じており、私はそのことが妙に気になった。そんなことをわざわざ書く必要があるのか? 仮にそれをわざわざ書く必要があったのだとすれば、それはミチルと光一の関係性の親密さみたいなものを表すためだったのではないだろうか。

うーん、考えすぎか。

 

もう一つ、妙に気になった箇所でいうと、入院する芳雄のもとに孝志と光一が見舞いに来たときのシーン。二人が部屋を出て行ったあと、芳雄の母が「よかったね。友達が見舞いに来てくれて。孝志君と、もうひとりは誰だったの?」と嬉しそうに訊ねたとあるが、この「もうひとりは誰だったの?」というセリフってわざわざ言う必要があったのだろうか。

単純に、知らない息子の友達の名前を把握しておきたいという母親の気持ちの表れなのかもしれないが、深読みすると、芳雄の母は芳雄の知らないところで光一と鬼婆屋敷で何度も会ったことがあり、そのことを悟られないようにするため、わざと初対面であることを装ったのではないか?

うーん、これも考えすぎか。

 

あと、芳雄の見舞いのシーンのところで、芳雄と光一が英樹殺害事件についてあれこれ考えている時、光一が、

「たとえばだよ。きみたちが裏口のドアを破ったとき、犯人がドアの裏側に隠れていたとは考えられないかい?」

との問いかけに、

「無理だよ。ぼくはミチルちゃんがドアを閉めているところを見てた。隠れる場所も余裕もなかったよ」

と芳雄は答えたが、これって本当なのだろうか。

その裏口のドアを破るシーンを読み返してみても、ミチルがドアを閉めているところを芳雄が見ていたなんて描写はなかったように思う。

 

そうなるとあの時、光一はドアの裏側に隠れていたんじゃないだろうか。

 

裏口のドアを破ったのは芳雄と孝志で、二人がつんのめるように裏庭に突っ込んだ隙に、光一はササーッと裏庭の外へ飛び出したのではないだろうか。

ただ芳雄と孝志にはその姿は見られていないが、その後ろにいたミチル、聡美、俊也の三人には見られた可能性が充分にある。

ミチルとは共犯だから、見られたところでまったく問題はないが、聡美はどうか。聡美と光一は従兄妹である。もしも、聡美が光一の姿を見ていたとしたら、警察に言うだろうか。親戚ということから警察に言わないかもしれない。むしろ、光一が捕まらないように積極的に協力するかもしれない。

では、俊也はどうか。

俊也は「事件以来ひきこもって、極力表に出たがらない」とある。これは英樹の死を目の当たりにしたことで精神が参っているせいなのかもしれない。しかし、裏庭から出ていく光一の姿を見たということで、光一あるいは聡美に「言ったら殺す」と口止めされて引きこもっているとも考えられる。

 

よって、もうひとりの共犯者は光一である。

 

最後に天誅についてだが、ミチルと芳雄の母に対する天誅は、どちらも芳雄の目の前で起こっている。しかし、天誅は芳雄の目の前で起こらなければならないという条件はない。そのことから、芳雄の母に天誅が下っているその同時刻に、同じ共犯者である光一にも同じように天誅が下っている、はずである。

 

うーん、なんかこじつけ感が半端ない推理だな。それに読み落としもだいぶありそうだし。

なんだかモヤモヤするなあ。

私のなかに眠りしコナン君はいつまでたっても目覚めず。とほほ。

2021年1月14日公開

© 2021 松下能太郎

これはの応募作品です。
他の作品ともどもレビューお願いします。

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

---

"目覚めよ!私のなかに眠りしコナン君!"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る