ローカルニュースを観て

山谷感人

エセー

960文字

ローカルニュースで特集されていた、宇野浩二に就いて短く語る。

ローカルニュースを観ていたら、宇野浩二の出身地で有る福岡の、と或る町が彼を大々的に宣伝する、と云う番組にあたった。成る程。最初に云っておくと、僕は初期の宇野浩二のファンである。だが然し、小説の鬼と何故か持ち上げられた後期以降に関しては、甚だ、疑問が残る。多分、仲が良かった芥川や菊池寛が他界してしまい、残された身として「勝手に小説の鬼扱いされはじめたよ……」の責任感とプレッシャーから迷走してしまった、のだと思う。初期の駄目人間を描いた素晴らしいユーモアから、全く作者のスタンスを変えた。まあ中期くらいから、その兆候は感じていたけれども(僕は昭和五十年生まれでリアルタイムではないが)。
有名な、芥川賞で石原慎太郎とやりあった事件も、前期のコージのママであったなら起こり得ない。太陽の季節が面白い、素晴らしい! と感じなくても「いんや~、新しい! ブッ飛んでいるね!」と褒めたハズである。まあ無論、コレを即興でスマホで羅列している僕も、太陽の季節の良さは判らないが。
芥川賞の事でのコージを更に語ると常に「全然、駄目」「今回も良作なし」を繰り返し、他が「受賞させたい人がいるのだけど……。でも宇野浩二先生がNGね。ハイ……」が多々あった記録がある。前記した通り、その流れは急に小説の鬼に持ち上げられてしまった&嫌でも作風をチェンジした、なる彼の、弱さと述べたら失礼か、彼の運命の所為である。菊池寛がビジネスとして完成させた文壇。それに反抗していた芥川。二人の親友が対立していた模様を、彼は見ていた訳だ。残されたモノの選択肢は、他にない。
山岸外史が大宰治に「俺は宇野浩二が嫌いだ。何だかテラテラ脂身くさい」と述べたらしい書物を読んだ記憶が、ある。だがその時、山岸は所謂、佐藤春夫門下生を酒癖と詭弁から追放されかかっており、文壇の在り方で矢面になった菊池寛を非難しただけだと、僕は考える。何故? その往時は生きていた菊池寛を、直接に非難しなかったのか? だって菊池寛、怖いモン、誰だって、その頃は。標的は宇野浩二へ行く。本当に人間の、哀しい暮らし。お生活。
いづれにしろ、福岡の、と或る町が宇野浩二をフューチャーする時、僕は彼が生き生きとユーモアをダラケながら描いていた、前期にスポットライトをあてて頂きたい。
オーライト、コージ。

2020年8月3日公開

© 2020 山谷感人

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