口癖。

山谷感人

エセー

1,807文字

痛風の筆者が口癖と児童教育に就いて短く語る。

飲酒。
誰だってハイになっている時は、落ち込みたくないモンな! なるGuns N’ Rosesの歌詞をワザワザ引用しなくてもアルコールは生きるパートナーだ。だが然し、敬愛なる皆さんには適量なるルールもオススメしたい。当方はプロフェッショナルな遊民なので、そうしたレールは歩かないが、痛風は、素人さんには向かない。坂本龍馬なみの健脚か! で狭い世界にて有名であり日々、六里ほど散策していた僕が今、近所のスーパーマーケットに西瓜を買いに行ったら八十歳を越えているだろう老婆に後ろから追い抜かれるのである。
御自愛あれ。
さて、半年くらい前から僕の口癖は、他人が何か励んだり、焦っている等の折に「お勉学じゃないんだからさ」を駆使している。遊民アッピールのキャッチフレーズみたいな感覚だ。最初は「小僧の神様じゃないんだからさ」であったが、我が陋屋がある天領ナガサキシティー出島界隈は、志賀直哉の知名度が低いらしく全くもって意義が伝わらず、完全に異物扱いされ止めた。然し「小僧の神様じゃないんだからさ」を使う前は「岩野泡鳴じゃないんだからさ」を連呼しようとし、流石に判り辛いかと却下した流れも記しておく。まあその時、オウムの上祐が「馬鹿らしい!」とテレヴィジョンでフリップを投げた心持ちになったが。そもそも……、長くなるからソレは置いて、そう「お勉学じゃないんだからさ」をミーは、口癖にしている。
僕は、こ酔って羅列している、このクソみたいなエセーで自己解説しているように、何回目? 遊民である。で、あるが郷土史を書いて、たまに酒代を貰っている故、夏になると他人の子供を引率して出島辺りを説明して欲しい、なる依頼もある。すみません、僕、畜生や子供には近所で好かれているのです。多分、視点が同レヴェル扱いされているのであろう。
昨日、小学生四人を連れてマジカルミステリーツアー、じゃなかった、西欧と出島ナガサキに就いてプチ・ツアーを行った。二時間余り、僕としては近所をプラッとガキと廻り適当な意見を述べ、最後は、どうせ好きなんだろうリョーマを凄いね、凄いね! と持ち上げ終わらせようと考えていた。日給六千円也。無難な、お仕事だ。
先生(僕の事)の陋屋前のバス停に集合ね! と伝えていたが、時刻を過ぎても一人、来ない。二十分、三十分……。他に来ている児童は「ね~、先生の部屋、猫がいるんでしょ? 触らせてよ、暑いよ」と、ダラけ始めた。部屋に人を入れるのは元来、色々な奴と同居して来たし、東京の武蔵小金井や高円寺、御徒町に住んでいた往時は鍵は空けっぱ、友人の友人なる識らない輩が女子連れで寝てた、イラン人も! など日常茶飯事であったが、そこは僕の所謂、肴になるから、どうぞ、いいよ、ウェルカム! なのである。酒の、会話、ネタのツマミ。然し、小学生を部屋に入れても、その栄養にならぬ。
僕は子供達に「待て」 「落ちつけ」 「ゆっくり深呼吸」 「ほら、蝉が哭いているよ」 など自身が飲み歩いて、さんざなだめられた台詞を吐いていた。が、やがて、面倒になって大人にしか使わない「お勉学じゃないんだからさ! おじさんは一人部屋に帰って、おめざを呑むよ」と喉まで出かかった瞬時、その大幅遅刻、旧い言い方をすらばズイマーなガキが来た。
僕、いや、私も不惑を過ぎた大人だ。「待ってたよ! 遅かったね」と朗らかに作り笑いした。彼は、こう答えた。「待たせたもん」 最初、意味が判らなかった。
後で彼が云うには、こうだ。待ち合わせの時刻を、ワザと遅れるのが彼の美学らしい。それは親もそうだから、との事。
僕は思った。それはロックじゃないし、無論、岩野泡鳴的でもない。当然、僕も酔い過ぎて二日間、お労務していたトコロに無断欠席してクビになった事実はあるが、それはワザでは非ず。
「お勉学じゃないんだからさ」
「うん、お勉学しらない」
「お勉学は、しらなくていいよ。でもね、遊ぶにもルールはあるんだ」
「それ? お勉学?」
部屋に戻り、飲酒、浴びたいなる衝動に駆られたが悲しいかな、今は僕も地方で僅かな金銭を頂き、世俗にまみれる小市民、最早、偽遊民。ガイド料金(飲み代)目当てで彼に微笑み、出島へと向かった。

追記・今回、水害にて甚大な被害を受けている熊本は人吉・球磨村には自動車免許合宿で三週間、滞在していた。そこで出逢った仲間達と毎晩、飲み歩いていた。昔、エセーでも書いたが良い追記。かの地域の、早い復興を、心から祈る。

2020年7月22日公開

© 2020 山谷感人

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