イマジンやで

Z級大阪ストーリーズ「絶望的才能」(第2話)

Masahiro_Narita

エセー

2,381文字

You may say I'm a dreamer…

自他共に熱烈なビートルズ・ファンを自負するこの私の元に、ついにその瞬間はやってきた。

 

そう、夢にまで見た...というか、文字通り、夢に見た訳なのであるが、夢枕にあのジョンレノンが立ったのだ。

 

たしかに、なんとなく、そういう予感はあった。

 

寝る前に、だらだらと見ていたテレビCMでは、部屋のタンスの中からいきなり織田信長や、ガリレオが現れて、現代人の便利な生活を羨むシーンが繰り返されていた。

 

あんな風に、今は亡き、ジョンレノンと逢えたら、どんなに幸せだろうか?

と、ふと、考えたりもしながら、そのまま床についた。

 

そして、まだ、寝入りばなだと思われる頃に、ウトウトしていると、なんとなく、枕元に人の気配を感じた。

 

その瞬間、私は「あ、ジョンレノンが来てくれたのだな。」と、直感した。

 

果たして、ベッドから起き上がると、そこにジョンはいた。

あの丸メガネにロングヘアーという、おなじみの姿で。

 

しかし、正直言って、一つだけ、違和感を感じるところがあった。

それは、彼が私に話しかける言葉が、なんと、コテコテの関西弁だったことだ。

 

この文章を読んでいるジョンレノンのファンの人にとっては、彼の言葉として語られる関西弁に大きな違和感を覚えるかもしれない。

 

しかし、関西人の私には、彼の言葉はストレートに魂に響いてきた。

 

そこで私は、挨拶もそこそこに、矢継ぎ早に質問をぶつけてみた。

ジョンは、嫌な顔一つ見せず、極めてフレンドリーに答えてくれた。

 

以下は、彼との会話である。

 

*     *     *

 

私   「あ、あなたは、ジョンレノンですか?そうですよね。早速ですが、いろいろと質問させて頂いてよろしいですか?」

 

ジョン 「ええよ。なんでも、聞いてや。」

 

私   「ほな、まず、あなたが殺されたのは、なぜですか? 一説には、あなたの反戦運動が世界的な影響をもち、アメリカのベトナム戦争撤退をもたらしたと考えられることで、CIAによる陰謀説がありますが...。」

 

ジョン 「いや、そんなことはあらへん。

まあ、あのデービッド・チャップマンちゅーオッサンが病気やったさかいな。わしもホンマのところは、よう判らんのやけど、まあ、済んだことや。」

 

私   「たしかに、彼はまだ、服役中ですね。奥さんのヨーコさんは、保釈に反対されたそうですけど。」

 

ジョン 「まあ、嫁さんの気持ちを考えれば、そうやろうな。それに、あいつ、わしのほかのメンバーも殺しに行くなんか、言うとる

から、出さん方がええやろ。」

 

私   「奥さんと他のメンバーのことが出たので、そのあたりもいろいろと伺いたい

のですが。」

 

ジョン 「ええよ、なんでも聞いて。」

 

私   「では、まず、なんでビートルズはあんなに短い活動期間で解散してしまった

のですか?」

 

ジョン 「それを聞かれると思うたがな。

まあ、わし一人で決めたことやないし、第一、あのポールが宣言したことやからな。」

 

私   「ファンから見れば、あなたには申し訳ないのですが、奥さんの存在があなた

を他のメンバーから引き離してしまったと、言われています。曰く、『ビートルズを殺した女』だと。」

 

ジョン 「まあ、わしが嫁さんと逢うてから、バンドのセッションに連れて行ったりした

し、彼女もわしに”ソロでやりなはれ!”とも言うとったさかいな。せやけど、あんたらはあんまり知らんやろうけど、わしら、解散後もポールがわしのところに遊びに来たり、意外に仲良うやっとったんやで。」

 

私   「しかし、解散後のあなたは平和主義者になってしまいましたね。」

 

ジョン 「せやねん。もともと、わしら、反キリスト教みたいな発言をして、物議を醸し出したし、お騒がせやったからな。」

 

私   「日本にも、『拝啓、ジョンレノン』という歌があって、バカな平和主義者だとか、

現実見てない人とか、夢想家だとか、言われていますね。」

 

ジョン 「まあ、その点は認めるけどやな、でも、世間もアホやろ。ベトナムでやったことを、また、イラクでやって、撤退しよるんちゃうん?」

 

私   「それは、そうですね。人間も進歩していませんね。」

 

ジョン 「だから、平和主義がいいねん。こういう歌を歌っとれば、皆の心が和むやろう?」

 

私   「では、あなたにとって、『ビートルズ』とは何だったのですか?」

 

ジョン 「それが一番、難しい質問やな。

一つ、いえることはわしら、メンバーのモノではなくなってしもうた存在やったな。社会現象とか、世界的アイドルとか、そんな言葉では片付けられん大き過ぎる存在になってしもうた。もう、手に負えんわ。」

 

私   「でも、近年では後輩の『クイーン』とかも再結成して活動しております。メンバー2人が参加すれば、オリジナルだと。」

 

ジョン 「ポールとリンゴのことは、そっとしといてやりー。生きていくのも大変なんやで。。」

 

私   「そうですね。。」

 

ジョン 「ほな、わし、そろそろ逝くわ。」

 

私   「ありがとうございました。お元気で。。」

 

ジョンは、“スターティング・オーヴァー”を鼻歌で奏でながら、消えていった...。

2018年3月23日公開

作品集『Z級大阪ストーリーズ「絶望的才能」』最新話 (全2話)

© 2018 Masahiro_Narita

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