| 編集部 |
それでは、これよりお三方に作家のIT偏差値についてお話していただきます。
まず、このサイトのデザインを手がけている貯蓄さんよりお願いします。
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作家のウェブサイトを眺めていて思うのは、文壇での知名度あるいは人気と、その作家のウェブサイトの立派さはかならずしも関係ないということです。 |
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たしかにね。島田雅彦氏とか、高橋源一郎氏なんて、更新されてないもんな。本業で忙しい人はそんなことやってる暇ないんじゃないか。ぱるおさんもそうでしょ? |
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本業ってなんだ。 |
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林業関係者の方とうかがってますが…… |
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あ、手が震えるのはそれか。別のナニかかと思ってたよ(笑)。 |
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酒でなくて電ノコもだね。ぷるぷるきてるのは。 |
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ぱるおさんって、ネット見るんですか? |
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いやおめーらが用意してくれたからここにいるわけで。 そこにおいてあるパソコンてなんですか? という話からだ。この鼎談前にちっとは勉強してきたよ。 |
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まあ、ぱるおさんは読書家だから、ネットなくてもいいのかもしんないですね。というか、エッセイとかそういう仕事がある上でサイトにも文章書くのは面倒だよね。それ以上のことが書いてあるサイトってある? |
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早くからウェブ上で小説を販売している方もいましたね。筒井康隆さんとか。でもインターネット小説は昨年で終了したようです。 |
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やっぱなぁ。紙だろ。木だろ。なんだよこのチカチカしてんの。 |
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ぱるおさんはやっぱり森に帰ったほうがいいんですかねえ。でも、今はケータイ小説とか凄いらしいですよ。ぱるおさんの作品も、ウェブに適応させないと。 |
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んなもんかい。そういう社会的なもろもろに適応できないヤツラが読んでるんじゃないのココ。でもまあ、ウェブは別か。 |
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作家のウェブサイトへの取り組みをおおざっぱに分類しちゃいました。
1.ぜんぜん作らない人。
2.すべてひとりで手作りしたい人。
3.他人に作ってもらって放置。
4.他人に作ってもらい、本人も参加してアクティブなサイト。 |
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アクティブに木を切ってる俺は4だな。 |
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ぱるおさんの好きな宮本輝も4ですよ。会員制で、ちょっと腰が退けちゃうけど。 |
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でもきれいにできてますね。ファンサービスを大事にされている印象を受けます。 |
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このべんとばこみたいのなかにテルがいんのか。……おわ。 |
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戦後復興期みたいな反応が、ある意味新鮮だ(笑)。どうですか? |
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このヒゲめがねおじさまがテルなのか。なんだよこのカメラ目線は。みつめられても困るが。しかしだいぶはげたな。俺よりはマシだが。 |
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ぱるおさんの好きだった頃の輝氏はスポーツ刈りでしたもんね。 |
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あの頃は暴れてたからな。俺もテルも。いつのまにこんなにルートがわかれてしまったんだろな。 おい。 |
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他の作家のサイトも見てみましょう。デザイン的にはどうでしょう。 |
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野阪昭如といえば、サングラス。
優しい目は生れつき、
せめて目元だけはハードに |
でも、ビジュアルのいい作家にはプロモーションの機会になりますよ。辻仁成とか町田康のはオサレですね。綿谷りさのはないけど。あ、野阪昭如氏のは若かりし頃のお写真がカッコいい。「リハビリ中」の文字も光ってますね。 |
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表現手段として、あるいは情報発信手段としての用途の自覚のしかたによって、ウェブサイトへの力の入れ方も違ってくるんでしょうね。 |
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高橋君もそろそろ脱いだらどうなんかね。 |
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脱ぐといっても
これが限界(高橋談)
小さな傷は手術の痕。
保険はまだ降りて
いないとか |
無名のぼくがいきなり脱いだって、ただの見せ損じゃないですか(笑)。 |
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唐突に、立松和平さんのサイトを見てみました。
南極コーナーが独立しているところがイイ!思わず写真を見てしまいます。 |
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この左上メニューのフォントはどういう意図なんだ。怪奇小説系の作家さんだったっけ。この方。 |
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フォントだ(笑)。
「えほん」っていうのがいいですね。これはもう作家としての活動をほとんど超越してるな。 |
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和平発言」は某アニメを思い出させるな。「えほん」のFlash使いもどことなく奇怪だ。あまり関係したくない方ではある。 |
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プロフィール写真をクリックすると、大判印刷できそうなくらいのファイルサイズで写真がポップアップです。これは一体? |
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クリックしたら、パソコン動かなくなったぞ。おーい、どーしてくれんだ? |
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めちゃくちゃファイル重いんですけど。立松先生のポスターをダウンロードできるというファンサービスの一環なのでしょうか。 |
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こういうブロマイド的な使い方もできるんだね。
作家の顔って案外わかんないから。
そういや、ぱるおさんはブロマイド世代(?)ですよね?
誰の持ってますか? |
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ぱるお先生のお道具箱から
発見されたブロマイド |
松田聖子の所蔵は負けんだろな。
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| 編集部 |
なにか個性的なサービスのあるサイトはないでしょうか? |
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団鬼六先生のオフィシャルサイトです。アダルト関連の認証があります。しかもこんな記述が……
「最近の団鬼六 News ! 受験用テキストに!河合塾作成の国語教材に団鬼六著の『牡丹所収』が使用されています。」 |
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こういうのがあったら俺も高校いけたんじゃねーかな |
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あ、ぱるおさん中卒だったんですか……。 |
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有料コンテンツ会員様入口はいったらなんかヘンだぞ おい |
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大丈夫、ぱるおさんクレジットカード持ってないから。 |
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認証画面ですよ。 |
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ぱるお と入れりゃいーんだな。ユーザー名 : ぱるお パスワード : 炭焼 といれたが同じ画面しかでてこねーぞ。 |
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じゃ、次。 |
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安部譲二氏のページにある履歴書はサイコーですね。ぱるおさんもこんな感じの来歴? |
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にたよーなもんじゃねーかなぁ。書くことあるだけまだましやね。しかし狙いすぎでアクが強い。履歴書や手配写真みたいなネタを用意しとく時点で十分「大人げある大人」なんじゃねーか。 |
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とても活気があると思うのは、よしもとばななさんのサイトです。たんなる作家の名刺がわりの機能に終わっていなくて、ウェブサイト発で本も出ている。読者とのコミュニケーションを根強く続けてコンテンツにしてしまうといういい例だと思います。 |
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わけわからんままはいったら へんな言葉でてきてよめねーぞ。 |
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英語版に入っちゃったんじゃないですか? 世界的作家は違いますね。 |
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多言語で情報発信できることは、実力というかのひとつの目安とうけとっていいんでしょうか。 |
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破滅派も方言別でやりてーなぁ。俺は捨てられてたからわからねーが。出身地とか方言とか。 |
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あ、捨て子だったんだ……。 |
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ともかくばななの目をなんとかしたい。あとは、このばななのQ&Aって。入れ墨してるらしいじゃねーか。気合はいってるな。もんもんいれてたのかコイツ。 |
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ヤフージャパンのカテゴリを見ると、ひとりの作家に複数の関連ページがある場合が見受けられますね。その数が人気度のひとつの目安なのかも。ただ作家本人が運営するページに人が集まって、読者間のコミュニケーション機能もよくはたしている場合もあるでしょうね。 |
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ぱるおオフィシャルの関連ページはどこにあるんだ。 |
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作りますか? でも、ぱるおさん更新しないでしょ。更新してないページはすぐに廃れますよ。 |
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炭焼職人でもつくれんのかコレ。 |
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インベーダーの戦闘機って
たしかこんなのでしたよね |
人の話をちゃんと聞けばね(笑)。三田誠広さんとか手作りですよ。このチープ感は手作りだからこそですよ。インベーダーゲームみたいだ。 |
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うわぁ。 |
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「作家本人による」と書いてありますねたしかに。文字が流れてます……工夫されたんでしょうか。 |
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すげーな。 こんなことできんのか。久夛良木健流に「どうです。すごい時代になったでしょう!」と叫びたいところだ。小説のギミックとして採用してもらいたい。流しそーめんみたいな小説で拾い読みすらできないみたいな。で、左上のあれ、なんて書いてあんの。 |
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「WELCOME!」というトップの字がスピード感あふれていてよいですね。 |
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まあ、「書く」という作業を人任せにしないという点では、ある意味正道をいってるね。ぼくはこういう心意気好きですよ。 |
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WELCOME! なんか早いな。風俗店の電光広告みてーじゃねーか。「WELCOME!」なんかやめて「早朝サービス有 生尺OK」にしよう。 |
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まあ、ぱるおさんみたいな人にはその方がいいじゃないですか。愛読書も『MANZOKU!!』とかだし。 |
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デザインは外注されるのもひとつの手ですね。 |
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俺としては三田センセの「亡き愛犬リュウノスケの肖像」 についてこってり語りたい気分だが。 |
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特別の思い入れがあったんでしょう。 |
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2002年に没されたのか。 |
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まさに「ホームページ」という雰囲気で、web草創期の香り高い逸品ですね。 |
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その方がいいのかも。だって、文章になる程度の「おもしろい」近況はエッセー・対談である程度わかるじゃん。 |
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おれもこれくらいん時に死んでりゃよかったな。「亡き炭焼 ぱるおの肖像」とか頼む。 |
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愛惜される作家になってください。 |
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まずは身近なアイテムを出してきゃいーわけだな 聖子プロマイドとか。 |
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そんな感覚ですね。 |
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そうすると、聖子ファンとか別口で迷い込む人がいるかも。 |
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リュウノスケ。俺よりいいメシくってたんだろな。なんかはらたってきたぞ。 |
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そんなことない、同じくらいですよ(笑)。
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| 編集部 |
新たなファンを囲い込むという視点で見ると、良く出来てるのはどれでしょう? |
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よしもとばななさん、輝さんですかね。立派なサイトもありますが、文芸誌のきらびやかな、あるいはややいかめしいイメージとはうってかわって、個々の作家のウェブサイトを覗くと、妙に手作り感溢れるものがけっこう見受けられますね。自営業者としての作家の悲哀がサイトのディテールに感じられる気がして、なんだかリアルです……。 |
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おれとして団先生だな 。メディアの取り込みはエロからなわけで、破滅派にも18禁コンテンツが欲しい。個人的には高橋君に脱いでもらいたい。 |
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作家としてはこれからwebも本業に関係のあるひとつの媒体とみなして、ある程度作りこんでおかないと、脇が甘く見えてしまうということも出てくると思います。webにまつわるもろもろのことが面倒になってくると、オフィシャルサイトを一切持たないというのも一つの判断なのでしょうか。 |
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その点、村上春樹氏は上手いのだね。固定したオフィシャルはない。チカラの入った新刊間近になると単発的にサイト立ち上げる。あるいは最初から読者とのコミュニケーションを眼目として、後々販売できるコンテンツのベースを用意する。この辺りはばなな的といっていいのかね。Web版「村上朝日堂」シリーズや「少年カフカ」は一例だな。 |
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おお、春樹に関してだけ正確な知識を持ってるぱるおさんっていうのも、気持ち悪いな(笑)。ぼくは手作り感という観点から、三田先生を押すよ。これは「書く」という作業の原点だからね。
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| 編集部 |
で、結局どれが偏差値高いのでしょうか?
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デザイン的には辻仁成さん、コミュニケーションスキル的にはばななさん。 |
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リュウノスケ的には三田さん。 |
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三田先生を見習って
載せてみました。
かわいいでしょ(高橋談) |
そら、飼い犬なんだから(笑)。 |
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パソコンを自分のプロマイドで固まらせる破壊者、立松和平先生も捨てがたいが。それが俺の結論。 |
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なんか結論がまとまらないのは、作家という既存メディアの住人がウェブで発信する意味がよくわかんないからだろうか。ウェブオンリーでいったら、帝王はYOSHIだからね。 |
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有限会社ザブン。銭湯みたいだ。さすがにちゃんと作ってあるのかね。「鬼才Yoshiが4年ぶりの沈黙を破った…」「もっと、生きたい…」伊藤美咲さんは「感動して、ありえないくらいの涙を流しました」そうな。俺はこの言葉だけでありえないくらいのうんこをもらせそうだ。 |
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ケータイ小説の話は今回出ませんでしたが、プロ・アマ問わず、作品発表の場としてのインターネット利用には携帯サイトが大きな力を持ってきていると思います。それとは逆に、PC版のオフィシャルサイトを持つ文芸誌ベースの作家は、類型的なインターネットの使い方をする場合が多いようにも見受けられます。名刺代わりに著作リスト、プロフィールを載せ、あとは近況報告といったように。紙媒体の文芸誌ベースで仕事をする作家がネットに積極的な意味を見出しているのかどうか、疑問に思うこともあります。ブログや日記の更新が止まっていて、サイトの運営を途中で放棄したのが明白な場合が、少なからず見られます。そうなってしまうと、うらぶれ感が高まり、ウェブサイトを持っていること自体が読者にマイナスイメージを与える原因になりはしないでしょうか。 |
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そういう意味じゃ、亡くなった飼い犬の写真を載せた三田先生の暴挙は正しいわけだな。それ以外の人は並みの偏差値50ということで。破滅派は65ぐらいを目指そう。 |
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たんなる名刺、あるいは作品置き場としてではなくweb発のなにかがもっと文芸とむすびくことを願いつつ。 |
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前号に引き続き、宣言的なもので終わるわけだね? よし、がんばろう! で、ぱるおさんはこのあとなんか用事あるんですか? |
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用事というものも久しぶりに きかれたが、どうするかな。リュウノスケでもみながら考えてみよう。なんだか鼎談の最中に泣けてすまない (退出)。 |
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といいつつ、エロサイトに接続するぱるおであった。完(笑)。 |
| 編集部 |
あの、そろそろ出ますけど…… |
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はい |
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へい |
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ありがとうございました。マンガ喫茶もいい迷惑でしたね(笑)。 |