斧田小夜の投稿一覧 40件

  1. 春を負う – 1 春を負う / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 19,955文字

    森林限界の辺縁にすまう人々にとって春とともに山を登り、冬とともに山を降りる交易びとは特別だ。かれも例外ではなかった。

  2. 春を負う – 2 春を負う / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 12,162文字

    村は重苦しい空気に包まれている。どの家も軒先に喪に服していることを示す鈍色の布を吊るし、人々も鈍色の服を身に着けているのはが死者を弔っているからだ。 ガプガワンが、死んだ。 その死は定められたも…

  3. 瞑目トウキョウ 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 1,284文字

     序章   早春の濁りが喉の奥でざらついた音をたて、僕は焦って息を吐いた。 ドルル、ドルルと背後から不吉な音がする。不吉な音の正体はエンジンだ。軽トラックにのった父が僕を追いかけている…

  4. 瞑目トウキョウ  第一章 曽祖父 (1) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 9,618文字

    写真を撮ったこともないのに、カメラのことだけは知っている――そんな曽祖父がついに(以降は週一くらいで更新します)

  5. 瞑目トウキョウ 第一章 曽祖父(2) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 7,493文字

    入営後、憂鬱な日々を送る嘉平さんを待っていたのは――

  6. 瞑目トウキョウ 第一章 曽祖父(3) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 19,259文字

    明治三十七年、日露戦争の只中も嘉平さんの頭のなかにあるのは暗函だけ。特例で大陸に渡った嘉平さんはついに夢にまで見た大本営写真班と合流し――

  7. 瞑目トウキョウ 第一章 曽祖父(4) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 10,414文字

    首尾よく出奔したはずの僕だが、あっさり父に居場所を突き止められ襲撃される。でも僕には味方がいる。父とは違うのだ――

  8. 瞑目トウキョウ 第二章 父(1) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 12,901文字

    今はろくでもない父だが、昔からそうだったわけではない。父が十五の頃の話をしよう。

  9. 瞑目トウキョウ 第二章 父(2) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 16,525文字

    病気の母親に付き添って岡山に出た父、やはりどこにでも写真はついてまわるものだ。

  10. 陰影のトポロジー 陰影のトポロジー / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 15,796文字

    連載の途中ですが短編をお送りします。

  11. 瞑目トウキョウ 第二章 父(3) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 8,885文字

    父の写真の才能を買って新聞社に勤めてはどうかという誘いが来るが――

  12. 瞑目トウキョウ 第二章 父(4) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 27,481文字

    蔵掃除をしていた僕と哲之は箱の奥にガラス乾板を見つける。明治は遠い記憶だ。

  13. 瞑目トウキョウ 第三章 祖父(1) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 10,080文字

    自殺を図った父は発見が早かったおかげで一命を取り留めたが、僕はそんな父の所業がゆるせなかった。ほとんど残っていない祖父の記憶が蘇り、尾古の秘密が明らかになる。

  14. 瞑目トウキョウ 第三章 祖父(2) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 19,561文字

    ご隠居のよこした手紙には古い紙が折りたたまれていた。僕の記憶にもない、尾古の記録。祖父はなぜ、田舎にもどったのか――

  15. 瞑目トウキョウ 第三章 祖父(3) 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 23,896文字

    知りたい。もっとたくさんのことを知りたい。知らないものを見たい。 胸の奥がしびれるように痛む。僕は身を捩り、その痛みに焚き付けられるように外へ行きたいと願っている。知りたい。その欲求をあの村に…

  16. 瞑目トウキョウ 終章 瞑目トウキョウ / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 3,655文字

    そしてまた歴史はめぐるのかもしれない。僕はそれをまだ知らない。

  17. ブレーキも踏めない ブレーキも踏めない / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 4,318文字

    世の中が理不尽なのは今に始まったことじゃない。

  18. 舟 – 1 / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 1,984文字

    岸から船着場へ荷を載せ、四艘の舟は川面を走る。 水面は魚の鱗のように光っており、時折櫂の間をくぐる黒い鯉の影が見える以外は穏やかである。照りつける太陽の下、夏は眩しく、しかし水辺の風は涼やかだ。…