方舟謝肉祭
方舟謝肉祭(1)
20世紀の墳掘り人たることを目指す「性格の悪い語り手」Fは、最高の小説として「血のこと」について書くことを思いつく。彼は自分の経歴を調査し、ついに親族の宗おじさんのことについて書くことを思い当たる。大正時代の一代起業家だった宗おじさんは、Fの祖母によって「人食い鬼」と罵られる悪漢だったが……
方舟謝肉祭(4)
病床にある祖母をしつこく訪ね続けた性格の悪い語り手Fは、ついに家族史のタブーへと触れる。祖母を苛むFを見かねた従姉のWちゃんは、彼をねちっこく非難するが、不貞の孫Fはそんなことなどいっこうに意に介さないのだった。
方舟謝肉祭(5)
祖母からアルバムをせしめたFは、家族史のタブーを暴くべく、弟子のDDをひきつれてはるか山口の柳井市まで向かう。Fの祖先のルーツがある柳井は、決して彼を暖かくは迎え入れないのだった。
方舟謝肉祭(9)
ついに南洋航路へと船を出した宗おじさん。大正時代の航海は辛く危険に満ちたものだったが、ついに南洋群島の一つであるパラオへと辿り着く。パラオは南海の極楽さながら、珍かなものに満ちた楽園だった。確信を深める宗おじさんのかたわらで、芸妓の歌が悲しく響く。
方舟謝肉祭(10)
南洋群島の楽園パラオは、宗おじさんの思っていたほど栄えてはいなかった。つきまとう植民地の悲しい幻影。蝕まれていく現地の人々の悲しさを充分に理解しながら、宗おじさんは南洋を活路とすることを決意する。「たってのお願いがあります」そういって頭を下げる宗おじさんには、強い決意があった。
方舟謝肉祭(11)
ついに宗おじさんは南陽群島からの帰路についた。強い決意を秘めた旅路は、成功への予感を秘めて終わるはずだった。しかし、ほんの小さな過ちが、大きな災厄を呼ぶこととなる。宗おじさんら一向を待ち受けていたのは、深い深い絶望だった。
方舟謝肉祭(12)
はるか南洋まで旅立った「宗おじさん」は、「地球村事業」の手ごたえを掴みながら、帰国の途につくが……。
性格の悪い語り手Fが描く小説はその加速度を増してゆく。傑作メタフィクション。
